2025(令和7)年「やすらぎ修行会」プチ法話 第168回
第168回「やすらぎ修行会」プチ法話 2025/5/21
教員時代、生徒から「どうしたら成績が上がるのか」との質問が。私は「試験前、友だちに勉強を教えてあげるといいよ」とアドバイス。人に説明するには、内容をしっかり理解したうえ、要点をまとめ簡潔に説明するという作業が必要なので、自分の中で理解が深まり、定着が進むのです。
人生相談を読んでいたら「小学校1年生から5年生までの記憶が丸々ないのです。そんなことってあるのでしょうか」という質問が。先生の回答は「その間、家庭であなたの話を聞いてくれる人が誰もいなかったのですね」とのこと。なんと、自分は記憶力が弱いという訳ではなかった。
モグモグ食堂に毎月参加のS君、小学校低学年の頃は、食事中も食べ終わった後も、ママにその日にあった出来事を息つく暇もないほど話し続けていました。弟が割り込もうものなら、かぶせてさえぎりマシンガントーク。中学生になった今はすっかり寡黙に。でも、子供の頃の記憶は豊かに残っているのでしょう。
体験を人に話すとき、頭の中で出来事を時系列に並べ替え、エピソードを取捨選択しているのです。体験は人に話すことによって定着し「記憶」が形成されます。会話を重ねることにより、「記憶」がより立体的になっていく。さらに話しながら別の発想が紡がれることもあります。話すとは不思議な行為ですね。
今の「私」を形作っているものは過去の「記憶」です。自らを深めて行くには、家族や友とたくさん語らい良い「記憶」を積み重ねて行くことが大切なのです。