第182回「やすらぎ修行会」プチ法話 2026/7/21

 施餓鬼会とは、読んで字の如く、「餓鬼たちに飲食を施す儀式」です。でも、お盆と重ねて行われることが多く、先祖供養の行事とイメージされる方も多いでしょう。果たして「施餓鬼会」には、どのような意味合いの行事なのでしょうか。 ある夜、釈尊の十大弟子の一人で多聞第一と呼ばれた阿難尊者の前に、口から火炎を吐く恐ろしい餓鬼が現れ、「お前は3日後に死んで、餓鬼の世界に生まれ変わる」と告げました。驚き恐れた阿難尊者は、釈尊のもとを訪ねると、餓鬼に飲食を施すよう指示し、少量の供物を無限に増やす「陀羅尼」を授けました。阿難がその通りに実践すると、餓鬼たちは安らかな世界へ導かれ、阿難自身も寿命を延ばすことができたというお話しがあります。これが「施餓鬼」の起源とされます。 阿難尊者は、餓鬼道に堕ちないための解決法を釈尊に求めました。しかし、釈尊は、「自分だけが助かる方法」ではなく「見えないところに苦しむ無数の餓鬼たちと共に助かる方法」を授けました。これこそが施餓鬼の要点といえます。 塔婆供養をする身近な方々だけでなく、名も無き誰かにも思いを致し、御功徳を振り分ける、これが「施餓鬼会」の意味合いなのです。 「勤行式」の最後「願はくは、この功徳を以て、普く一切に及ぼし、我らと衆生と皆共に仏道を成ぜんことを」とお唱えします。「お経をお唱えした功徳を、自分だけではなく、すべての存在に振り分ける」ということ。 「自分の幸せ」と「他者の幸せ」を切り離さないという考えが、仏教の根底に流れているのです。

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